漆器のお手入れは難しいと感じている方は多いと思いますが、注意点はあるものの実は意外と簡単で日常的に使用できます。この記事では漆器の正しい洗い方と拭き方、保管方法、漆器を使う時に注意したいことを詳しく解説します。こまめにお手入れすることで、大切に漆器を使っていきましょう。
漆器の正しい洗い方と拭き方とは?
漆器は急激な温度変化や乾燥に弱いので、漆器を使った後に食洗器や乾燥機を利用するのはおすすめできません。手洗いがおすすめですが、漆器の正しい洗い方と拭き方は以下の手順となるので、参考にしてください。
柔らかいスポンジに台所用洗剤を付けて洗う
丈夫な漆器もありますが、陶器と比べると漆器の表面は柔らかい特徴があります。そのため、傷が付かないように柔らかいスポンジに台所用洗剤を付けて洗いましょう。
汚れが気になるからといってタワシなどでこすると、表面に無数の傷が付く可能性があります。一晩中水に浸けたままにするのはおすすめしませんが、30分程度であれば水に浸けても構わないので、汚れを浮かしてからスポンジで優しく洗いましょう。
とくに表面に蒔絵などの装飾がある場合は、物に当たっただけで装飾部分がはがれる可能性があります。他のものとは分けて、より注意して洗うのがおすすめです。
水ですすぐ
洗剤が漆器に付着したまま放置すると、変色する可能性があります。洗剤が表面に残らないように、洗った後は水でよくすすぐようにしましょう。
フキンで拭く
水ですすいだ後は、自然乾燥させるよりも布巾で拭くことをおすすめします。漆器ならではのつややかな表面に水滴の跡が残ってしまうと次にその漆器を使う時に残念な気持ちになりますし、水滴を布巾で拭いた方が漆器を長く使えます。
拭いている時に漆器の表面に傷を付けないように、使用する布巾は新品ではなく何回か使用した後で柔らかくなったものを使いましょう。重箱の四角など水がたまりやすい部分はとくに丁寧に水分を拭き取ることが大切です。
漆器の保管方法とは?
漆器は日常的に使うことで乾燥を防げますが、使わない時の保管方法で気を付けたいことは次の3点です。
食器棚に収納する
漆器の表面に紫外線が当たると、劣化によるひび割れや変色が起こる可能性があります。使わない時には直射日光が当たらないように、必ず食器棚の中に収納しましょう。
重ねて収納する時は紙や布を挟む
漆器の表面は陶器と比較して柔らかいので、いくつも重ねて収納するとその重みで一番下の漆器に上の漆器の跡が付く可能性があります。間に薄手の紙や布を挟んでおくだけで傷が付くのを防げるので、必ず実践しましょう。
長期間使わない場合は食器棚の湿度を高める
漆器を長期間使わないでいると、乾燥してひびが入る可能性があります。そのため、食器棚に水を入れたコップを置くなどして湿度を上げる工夫が必要です。
定期的に使うと乾燥することはないので、高価だからといってしまい込んだままにするよりも日常的に使用するのがおすすめです。
漆器を使う時に注意したいこととは?
漆器は手になじんで持ちやすいだけでなく、料理を美味しく見せてくれる効果もありますが、そんな漆器を使う時に注意したいことは次の3点です。
電子レンジやオーブンを使わない
漆器は急激な温度変化に弱いので、電子レンジやオーブンに入れると表面が変色するだけでなく、ぷつぷつと泡立ったり、亀裂が生じたりする可能性があります。短時間で高温となる電子レンジやオーブンには絶対に使わないようにしましょう。
冷蔵庫に入れるのは短時間にする
漆器に料理を盛りつけて食事開始までの短時間だけ冷蔵庫に入れておくなどの利用方法ならかまいませんが、乾燥しやすい冷蔵庫に長時間入れたままにするのはおすすめできません。とくに水分が多い食材を入れた漆器を冷蔵庫に入れると、底は水分量が多くて縁は少ない状態となり、歪みが生じる可能性があります。
漆器の異変に気付いたら使うのをやめる
変色、ひび割れなどの漆器の異変に気付いたら、一旦使うのをやめるのがおすすめです。そのまま使い続けると、さらに状態が悪化します。漆器修理を行う専門店に持っていくと職人によって手が加えられてよみがえり、さらに長く使える可能性があります。愛着のある漆器を使い続けるために、状態がひどくなる前に使うのをやめてお手入れしましょう。
まとめ
漆器を洗う際には手洗いがおすすめで、表面に傷が付かないようにスポンジやフキンは柔らかいものを使いましょう。保管の際には直射日光が当たらないように食器棚に収納し、長時間使用しない場合は水を入れたコップを置くなど食器棚内の湿度を高める工夫が必要です。長く使えるようにお手入れに気を付けていても漆器に異変が生じたら使うのをやめ、漆器修理専門店に持っていきましょう。
「小林宝林堂」では和家具や漆器の修理を行っております。お客様の大切な漆器を職人の技でよみがえらせることが可能ですので、ひび割れてしまった漆器がございましたらぜひお気軽にお申し付けください。皆様のお越しをお待ちしております。